MY LIFE

介護生活から見えた私

在宅介護から見えた私と私の葛藤日記

「お母さん、やっと桜見れたね。自分の足で見る桜はきれいでしょ?」

永遠の眠りについた母の向こう側に、母が桜の木の下でたたずんでいるのが見えた。

孫の長男からもらったスカーフを巻き、私がプレゼントした帽子をかぶって、両手には孫の次男からもらったぬいぐるみの柴犬とダックスフンドを抱えて、嬉しそうに桜の木を見上げていた。「歩けたんだ。やっと歩けたんだ。今日から母さんは自由になれたんだ。」

母を前に私は深々と頭を下げた。

「お母さん、ありがとうございました。母さんの介護をできて幸せでした。」

心からそう思えた瞬間だった。介護の辛さは今まで我慢していた幼少期からの苦しみが憎しみを生み、そして孤独が心にはびこり、追い打ちをかけるかのように人間不信になる出来事の数々に、どれくらいの涙と時間を費やしただろうか。そんな中で在宅介護をやりきれたのは、最期をともに寄り添ってくれたチェンジ後のケアマネさんを筆頭に訪問看護さん、ヘルパーさんがチームとなって私に寄りそってくれたこと。パートでありながら介護休暇を取らせてくださり、励まし続けてくださった職場、忙しい合間に手を止めて私の話に耳を傾けてくれた親友、そして何よりも愛する息子の励ましがあったからこそ、頑張ってこれたことに間違いはない。

50歳になって感謝という言葉をしみじみとかみしめた在宅介護だった。

そして何より私の悲しい過去が介護生活の中で思い出のひとこまに変われたことは、大きな私の一歩でもあった。